味方同士の違いを見て、相手の違いを見ないで闘うのか     2007年3月15日

 東京都知事選挙がおこなわれようとしている。石原慎太郎知事は次期も立候補すると表明した。私は東京都民ではないが都知事は是非変えて欲しいと思っている。その理由はたくさんあるが、特に許せないことは次の二点だ。

@ 日の丸・君が代を強制し、良心に従って起立しなかった教師を処分したこと
A 中国人や韓国・朝鮮人をはじめアジアの人々を軽蔑し差別している。

 そのほかにも最近話題になっている都政における公私混同や都の金を湯水のように使っての豪遊などは大問題だ。もちろん、公共事業優先姿勢や福祉切捨ての都政は反対である。

 力点の違いはあるものの石原知事をやめさせたいと思っている人の数は多い。

 東京都知事を変えるためには対抗馬が統一することが絶対に必要であるが、その統一がなかなかできないでいる。現在は吉田万三氏(共産党推薦)、浅野史郎氏(民主党推薦?)、黒川紀章氏が石原慎太郎氏に対抗して立候補している。

 当初は民主党の菅直人、海江田万里、元長野県知事の田中康男などが噂されたが、結局浅野史郎氏が出ることになり、上記の候補はなくなった。

 石原慎太郎氏との対決軸が最もはっきりしているのは吉田万三氏で、他の候補は対決軸がはっきりしない。今話題になっているオリンピック招致にしても、築地の魚河岸移転問題にしても浅野史郎氏ははっきりしていない。私が予想するところ宮城県知事時代おこなったと同様、石原知事の政策を受け継ぐに違いない。(オリンピックは招致、魚河岸は移転、福祉より公共事業優先)
 吉田氏ははっきりとした政策を持ち、オリンピックも魚河岸移転もおこなわないといっている。だが、残念ながら吉田氏では選挙に勝つことができない。

 このようなときに長野県知事だった田中康男氏が立候補するならば対決軸もはっきりとわかり、実行力もあり、しかも選挙で勝つ可能性も高かった。だが、いよいよ時期が迫った段階で、うその情報で長野県百条委員会から告発された田中元知事は警察の事情聴取を受けてだめになった。恐らく権力が動いたのだろう。

 そうなると都知事選は石原慎太郎・浅野史郎・吉田万三の戦いになる。三人の戦いになれば石原はほぼ勝利するだろう。吉田氏はいくら政策が良くても当選の可能性は無い。浅野氏もかなり困難だと言うのが現在の情勢である。

 浅野氏が立候補を表明したとき、共産党の志位委員長は浅野氏を批判して「ある意味では自民党以上に自民党的だ」と評した。「浅野氏が知事になってもよりましにならない」と言っている。これは「石原がなろうと浅野がなろうと東京都政に変化は起こらない」と言っているのと同じである。

 本当にそうだろうか。

 浅野史郎氏は官僚出身であり前・宮城県知事である。公約には「宮城県を福祉日本一にする」と書いたけれど実際には以前と同じ全国最低レベルのままだった。大型公共事業は前知事の手がけたものをすべて引き継いで赤字を増やした。
 これだけを見ると少しも良いところはないかのように見えるけれど、警察の裏金を明らかにしたり、情報公開をして、県の閉鎖体質を崩すことには貢献した。石原のように外国人を差別することもなかった。
 これらの事実を公平に見るならば政策の基本は似ていても「石原と浅野は同じだ」とはいえないはずである。そういうことを一切無視して「どちらがなっても同じ」だと言うのは強弁に近い。

 もうひとつ気になるのは、浅野氏を推すことができない理由として挙げたいくつかの例証が誤った数字を使っていたということである。
 例えば3月2日の赤旗によると、志位委員長は、浅野時代の宮城県政は「自民党より自民党型」だとして「前県政で国保証取り上げがゼロだったが、05年には2330世帯になった」と述べている。だが、事実を詳しく見ると、国保証取り上げゼロは2000年度のことであり、前県政ではなく浅野県政のことである。2330世帯もの取り上げが生じたのは2005年であるが、2000年4月に国保料滞納者に資格証明書の発行が義務付けられたことによる。だから、宮城県に限らす2003年から資格証明書の発行が激増しているのである。また、浅野知事時代の資格証明書交付率は47都道府県中で低いほうから8位だから国保取り上げは少ないと言える。更にいうと、資格証明書の発行は市町村が行う業務で県が行うことでないことも県政批判としては問題だろう。
 これは、私が見た記事ではないが赤旗東北版には「宮城県の一人当たりの住民税は6県中1位です。皆さんは一番税金を払っていらっしゃる」と述べているが、住民税の税率は全国一律であり、宮城県の住民税が東北各県中ダントツ多いということは、宮城県の所得が他県より多いということで非難することとは違うように思う。

 私は、かなりの意見が違っていても、現在の為政者よりましな政治をしてくれる首長を選ぶことは意味のあることだと思っている。議員のように1選挙区で複数が選ばれる選挙では各政党は候補者を立てて争えばよいが、首長選や定数1名の議員選挙はできるならば候補を統一してよりましな候補者を当選させることが重要だと思う。
 例えば、前回の総選挙では自公与党が大勝利して小泉純一郎が総理大臣になった。この時民主党は岡田克也が党首だった。共産党は二大政党選挙になることを警戒して「真の野党」をスローガンにして民主党との違いを強調した。民主党の公約は「憲法改正」「小選挙区制拡大」など、自民党と変わりない公約とともに「イラクからの自衛隊撤退」「靖国神社の参拝反対」なども含んでいた。

 結果は与党が勝利して民主党は惨敗した。共産党、社民党も敗北だった。その結果当然のことながら小泉内閣が成立した。与党が勝てばそうなることはわかっていた。民主党の岡田克也は責任を取って辞任した。代わって民主党党首になったのが前原誠一である。彼は改憲主義者であり教育基本法改正や自衛隊強化を訴える自民党以上の右翼であった。

 この結果を見て、私は「もし、民主党が勝利したならばどうだったろうか」と考えてみた。まちがいないことは、「靖国神社参拝」は直ちになくなったということである。そうなると中国や韓国との関係は今とは全然違ったものになっていたに違いない。自衛隊の撤退はうまくいくかどうか疑問もあるが、雰囲気としては早期撤退の声は大きくなっただろう。民主党の内部ではいわゆるリベラル派が力を持ち、右派の力は小さくなっただろう。
 政治というものは恐ろしいもので、一つの変化が全体を大きく変えることがあるのである。したがって、この時民主党が勝利していたならば、日本の政治が今とは全然違っていたに違いない。その変化の度合いは共産党が数議席増やすのとは比べ物にならないことは明らかではないか。

 このように考え、今度の選挙では反石原の勢力が統一して欲しいと強く願っている。
 政策的には極めて不満ではあるが石原よりはましなのではないかと思うからだ。


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