参議院議員選挙近づく     2007年7月22日

 参議院議員選挙が一週間後に迫ってきた。
 自民党の敗北を予想する記事が新聞に載っている。たしかに与党が敗北するような出来事が続いた。閣僚の相次ぐ事務所経費の不当支出、柳沢厚生大臣の「女性は生む機械」発言、5000万件を越える年金の行方不明、自衛隊による市民団体のスパイ活動、久馬防衛大臣の「原爆はしかたなかった」発言、アメリカ下院での慰安婦決議、安倍総理の消費税引き上げ発言など枚挙に暇がない。

 何よりも政府与党の質があまりにも低かった。安倍総理は靖国派のがりがりであるし、閣僚には同じ靖国派議員を抜擢した。しかも、彼等の多くはすねに傷を持つ者だった。防衛大臣の発言はたまたま安倍等の本音が出たものだし、事務所経費問題も安倍内閣の閣僚の本来の姿だと考えていいだろう。
 これらは野党にとって追い風であるが、風は自然に吹いただけではない。年金問題は一年前から民主党の長妻議員が追及してきたし、事務所経費の不当支出は共産党の井上議員らが指摘してきた。自衛隊のスパイ活動は共産党が公開し追及した。このなかで閣僚の辞任、自殺が起き、政府の支持率が急落した。

 野党有利の選挙情勢はこのような中で生まれたのだが、国民は政府与党への批判を民主党を選択することで解決しようとしているように見える。政府・自公与党への批判が共産党や社民党の票にならないで、民主党にいくことを残念に思うと同時に、なぜそうなるのかを分析して、有効な方針を立ててもらいたいものである。
 
 共産党は「たしかな野党」のスローガンで「野党と言っても自民党と変わらない政策を持っている民主党では国民生活は変わらない」ことを必死で訴えている。この訴えは今回が初めてではなく、前々回の参議選以来六年間ずっと平常時にも訴えつづけてきた。にもかかわらず、今回の選挙でも共産党への票は必ずしも増えてはいないように見える。
 共産党の人に聞くと「マスコミが二大政党の宣伝をしているからだ」と答えるが、マスコミが二大政党の宣伝をすることも共産党はずっといい続けてきた。
 つまり、共産党にとっては「二大政党」、「マスコミ宣伝」、「反共宣伝」などはすべて想定済みであり、それを打ち破る手立てを数年前から講じてきた。

 すべてが想定どおりでありながら、結果が想定外であるとしたら、どこかに問題があるはずである。

 今までは、その原因を「二大政党の欺瞞の暴露」と「共産党の値打ちの訴え(たしかな野党)」を国民の中に浸透させる活動が弱かったこと及び共産党の党勢拡大が不十分だったことが繰り返し指摘されてきた。その結果、「たしかな野党」のスローガンは一定に知られるようになった。私の接している人に聞いても「たしかな野党」のスローガンは知っているし、民主党がたしかでないこともよく知っている。ところが、彼等に「共産党に一票入れよう」と誘ってもなかなかうんと言わない。
 彼等は「確かでなくとも民主党は自民党よりはましだ」「はっきり分からないが一度やらせてみようではないか」「共産党は当選しないから入れても死票になってしまう」と言われてしまう。つまり、共産党がたしかな野党であることを知った上で、なおかつ共産党に投票しないのだ。
 今回の結果がどうなるか分からないが、もし、民主党が大勝し共産党が伸び悩んだとしたら、私は上のような意見もよく検討する必要があるのではないかと思う。

 選挙で躍進できないもうひとつの原因とされてきた党勢拡大はなかなか進んでいないようだ。拡大しても、しばらくすると減少する。新聞も拡大、減少の繰り返しで、思うようには増えていない。中野早苗さんのホームページを見ると必死で拡大している様子がよく分かるが、全体としての拡大になっていないのが現状だろう。党大会や中央委員会総会で120%拡大が何回も提起されているが120%どころか100%を割っている。
 なぜ拡大が成功しないのかも考えてみる必要があるように思う。

 「たしかな野党」というスローガンは他の野党の批判だから、野党共闘をしないことを前提にしているように見える。社民党に憲法問題で協力を呼びかけたことはあるが、その後共闘が進んでいるようには見えない。少なくとも、選挙での共闘は拒否している。今回の参議院選挙も東京都知事選も共闘はしなかった。

 ところが、共闘と選挙に関しての興味ある数字がある。

 沖縄における第19回参議選(H13)と20回参議選(H15)の票を調べてみた。
 19回には共産党は独自候補を立てていたが20回は独自候補を降ろして糸数候補に一本化した。その結果が下の表である。

沖縄での参議院議員選挙結果比較

候補者を立てたH13年選挙の比例票と糸数候補に統一したH16年選挙の共産党票を比較した。

19回参議院議員選挙結果(H13) 比例代表

投票総数

党名票

名簿票

得票合計

得票率

548,199

26,314

1,162

27,476

5,0

20回参議院議員選挙結果(H16) 比例代表

投票総数

党名票

名簿票

得票合計

得票率

569,430

36,895

4,246

41,141

7,2%


 これで見ると、独自候補を降ろしたときの比例票は40%以上増えている。

 一方2005年(H17)の総選挙で小選挙区に候補者を立てなかったほとんどの選挙区は比例票を減らしている。 (小選挙区で共産党が立候補しなかった選挙区:秋田3、山形2、福島3、栃木2・5、山梨3、石川3、福井2・3、静岡2・4・7、三重4、広島6、長崎3・4、大分3、熊本3・4・5、宮崎2・3、鹿児島2・3)

 沖縄の共産党は糸数候補に統一して選挙に臨むことが明らかになり、勝利に結びついた。自民党政治への怒りと野党候補の当選を実現させるために統一を選択した沖縄の共産党への共感が比例区での共産党票の増加となったといえる。ところが、 H17年の総選挙では共産党に統一の方針はなかった。そのため上に挙げた選挙区での比例票は増えなかったのではないか。候補を立てないことは同じでもその意味は全く違っていたし、有権者はそのことをわきまえていたのだろう。
 これを見ると、同じに「候補者を立てない」といっても、野党統一の方針を持つと持たないのでは全く別の結果をもたらすことがわかる。

 国会では改憲勢力が圧倒的だが、国民の声は違う。その違いを埋めるためには憲法を守る立場の国会議員を増やさなければならない。ところが、現在憲法を守る立場を明言しているのは共産党と社民党しかない。しかも、この両党も選挙協力をするつもりはないようだ。これでは選挙に勝てる見通しは無いと思う。長野県でも、両党が手を結んだら、あるいは自民党を敗ることが出来るかもしれないと、書いたことがあるが、何とか協力できる道を探ってほしいと思っている。


BACK NEXT 通信一覧