ブランデンブルグ協奏曲を聴く   2008年7月2日

 先日(6月13日)糸魚川市民会館へブランデンブルグ協奏曲を聴きに行ってきた。偶然演奏会のお知らせを見てこの演奏会があることを知り、聴くことができた。演奏は「バッハコレギウムジャパン」という著名なアンサンブルで、指揮を斉藤雅明というチェンバロ奏者がしている。このアンサンブルは他にも何ヶ所かで演奏をしている(埼玉、川崎、福岡、名古屋)が、他の会場は既に入場券が売り切れていた。

 6月7日に糸魚川市民会館へ電話を入れると「まだ空席はかなりあります。是非おいでください」とのことだった。このような著名なアンサンブルがどうして糸魚川という小さな町で演奏会を開くのか不思議に思ったが、お陰様で私は行くことができた。

行く前にインターネットで「バッハ・コレギウム・ジャパン」を調べてみた。

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は、日本を代表するオルガン、チェンバロ奏者の一人である鈴木雅明さんが、世界の第一線で活躍する日本のオリジナル楽器のスペシャリストを擁して1990年に結成した本格的なバロックオーケストラと合唱団です。(矢口真さんホームページより)

 このオーケストラの名前は聞いたことはあったが詳しい内容は知らなかったので、ホームページを開いたところ、以前テレビで演奏を聞いたことのあるオーケストラであることが分かり、ますます興味がわいてきた。そこで今回の演奏について調べたところ、演奏メンバーや演奏者からのメッセージも見ることが出来た。

ー6/12福岡, 13糸魚川, 14埼玉公演・演奏メンバー
協奏曲 第1番 ヘ長調
       BWV1046

   〜第6番 変ロ長調
       BWV1051

島田俊雄(トランペット)
トーマス・ミューラー(コルノ・ダ・カッチャ)
オリヴィエ・ダルベレイ(コルノ・ダ・カッチャ)
山岡重治(リコーダー)
向江昭雅 (リコーダー)
きよみ(フラウト・トラヴェルソ)
三宮正満(オーボエ)
前橋ゆかり(オーボエ)
尾崎温子(オーボエ)
堂阪清高(ファゴット)
寺神戸 亮(ヴィオリーノ・ピッコロ/ヴァイオリンヴィオロンチェロ・ダ・スパラ)
フランソワ・フェルナンデス(ヴィオラ/ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ)
ディミトリー・バディアロフ(ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ)
若松夏美(ヴァイオリン/ヴィオラ)
高田あずみ(ヴァイオリン)

パウル・エレラ(ヴァイオリン)
森田芳子(ヴィオラ)
成田 寛(ヴィオラ)
秋葉美佳(ヴィオラ)
福沢 宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
武澤秀平(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
鈴木秀美(チェロ)
西澤誠治(ヴィオローネ)
鈴木雅明(指揮&チェンバロ) 

(BCJホームページより引用)

 このメンバーを見ると、日本の演奏家として有名だけでなく、世界でも演奏家として著名な人が何人もいる。チェンバロの斉藤雅明氏はもちろん、鈴木秀美氏はチェロの演奏家として有数の人だし、寺神戸亮氏は世界中の古楽器演奏家と共演している。菅きよみさんのホームページを開いたら、なんとドイツ語で書かれているではないか。本拠地がドイツなのであろう。山岡重治氏もリコーダーの演奏家として著名である。

 このメンバーの曲が糸魚川で聞けるとはなんと幸運なのだろうと思って前売り券を注文した。


 私がブランデンブルグ交響曲に惹かれたのは以前の思い出があったからだ。

 1988年10月28日にN響室内アンサンブルがブランデンブルグ交響曲を全曲演奏した。FMでそれを実況した時のテープがあり、その時の思い出があったので久しぶりに再生して聴いた。「強い思いで」は演奏そのものというより演奏の前に何人かのメンバーが自分の思いを述べていたことが印象に残っていた。その時聞いた演奏は大変素晴らしいものだったが、録音の調子が悪くて、うまく録音できていない部分がかなりあった。幸い二番はうまく録音できていて、トランペットは素晴らしい演奏をしていることが確認できた。

 コンサートマスターは徳永英夫氏で彼が中心になってこの演奏を企画したようであった。彼の話も面白かったけれど、自己宣伝が鼻についたことを覚えている。私が特に興味を持ったのはトランペット奏者,
津堅直弘(つけんなおひろ)さんの話だった。「ブランデンブルグ協奏曲第2番にトランペットが登場するが、その演奏は超難しくてなかなか音が出ない。高い音域を使っているので普通のトランペットでなくピッコロトランペット(小型)を使うのだが、それでも音がでないで苦しみ、曲が終わると疲労困憊する」と言っていた。「はたして、満足な音がでるかどうか自信がない」ともいっていたが、それほど難しい曲なのかと驚き、必死に耳を澄まして聴いたのを覚えている。

 ところが、今回の演奏についてBCJ(バッハコレギウムジャパン)のホームページにトランペット奏者の島田俊雄氏が同じようなことを書いているのを知った。演奏者であり楽器製作者でもある島田さんはこの曲を演奏できる特別のトランペットを製作したようである。そこで、そのトランペットを聴くのも楽しみの一つになり、私の興味は更に大きくなった。

 糸魚川市民会館に着いて時間があったので辺りを散策し、会場に入るとまだかなりの空席があった。座席は3列目の中央である。舞台と座席が近いので少し近すぎるけれど、音が直接聴けるので私はおおいに満足だった。

 演奏に先立ち斉藤雅明さんから今回の演奏に際しての特徴について話があった。それによると
1、今回の演奏は古楽器によりバッハの生きていた当時と同じ編成の演奏をする
2、特に、チェロは坐って弾くのでなく、肩につるして弾く楽器(ヴィオロンチェロ・ダ・スバッラ)を使用する
3、演奏順は1番から6番までを番号順に演奏する
とのことであった。

第2番のトランペット
 注目のトランペットが登場する第2番は予想と違い島田さん手作りのものでなく、何回も見たことのあるトランペットだった。「おや」と思ったが、曲に集中して聞いた。残念ながら、私は今回のトランペットは特別良いとは思えなかった。

 古楽器による演奏は近代楽器とちがい音量が小さく音が柔らかい。微妙な音色やニュアンスの違いが表現されてるので、今回のように近くで聞くと、音の違いがよくわかる。その点は良かったのだが音量のバランスという点ではフルートトラベルソの音が小さくて他とのバランスが悪かったと思った。菅さんが熱演しているのが目の前に見えていただけに残念だった。あるいは私の坐っていた場所が悪かったせいか?

 日ごろ車の中で聞いているのはイ・ムジチの曲なので今回のブランデンブルグはとても新鮮で美しかった。木管の響きの美しさやチェロの音が美しくて「これがバッハの聴いた音なのか」と思いながら時を過ごした。もっと小さな会場で聞ければもっと良かっただろうと思ったが、それは欲張りすぎかもしれない。

 今回の編成でCDが販売されるそうなので、その時は早速買おうと思っている。


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