世界経済の大混乱(世界恐慌)について    2008年10月11日

 アメリカのサブプライム問題に端を発した株価暴落のニュースが毎日報じられている。あっという間にアメリカの大証券会社(リーマンブラザーズ)が破綻し、世界中の金融や株が大混乱に陥ってしまった。一時20,000円近くの値をつけていた日経平均株価は8000円台に暴落した。この影響はいずれ私達の生活に跳ね返ってくるに違いない。

 私はこのような状況を数年前から予測し警鐘を鳴らしていた田中宇の情勢分析を高く評価している。彼の分析は鋭くて多くは当たっている。彼の分析を参考にしながらこの問題を考えてみたい。

1、サブプライム問題とは何か
 アメリカの金融不安のきっかけになったのはサブプライム問題からである。これについてはいろいろ解説されているがいまだによくわからない。自分なりにわかる範囲で整理してみる。

@ アメリカではここ何年か住宅の価格が高騰していた。そこで低所得者も含め住宅を建設したり投資の対象として建設する人が増えた。

A 住宅投資会社は低所得者にも新しく建てる家を担保にして金を貸し、積極的に住宅を建てさせた。これをサプライムローンという。金利は高かったが数年間は低利に設定されていたことと住宅価格が高騰していたため低所得者も金を借りて競って住宅を建てた。

B 投資会社は借金の証文を債権化して高金利で販売した。

C 債権に仕掛けがあった。一つのローンを債権にすると、その債権は借金の証文と同じであるが、二つの住宅ローンをまとめて債権にすると、仮に一つのローンが返済不能になっても50%は助かるので、少し安全の割合が高くなる。三つのローンを組み合わせると、更に安全度が高くなる。こうして様々なローンを組み合わせて債権をつくると更に安心できるという想定だった。

D このような債権を格付け会社が高く格付けし、高い格付けをされた債権を保証会社が保障した。AAAとかAAに格付けされた高い利率の債権は投資家や銀行に売れた。

E 住宅価格が上昇している時はすべてうまくいっているように見えた。(例えば1億円で住宅を建設したとしよう。金利が5年間3%でその後7%になるとすると、最初の5年間に支払う金利は1500万円であり、その時点で住宅を売ってしまう。その間に住宅が5%上がると住宅価格の上昇分は2500万円になり運用益が1000万円になるという計算になる。)

F ところが住宅価格が下落し始めた。上の例で見るならば住宅価格が1000万円下落したとすると、1500万円の金利負担が加わり2500万円が損になってしまう。その2500万円を支払えない人は担保の住宅を取られてしまうことになる。融資した住宅投資銀行は担保が取れても住宅価格が下がってしまい、元が取れず破綻する。

G 格付け会社は債権を保証するのだが、AAAの保障した債権が破綻するとそれを補償しなければならない。ところが、そのような債権が続出し保障出来ず、AAAの約束は空約束になってしまった。
 
 (サブプライムローン問題について私はこのように理解しているのだが、十分理解しているわけではないので、あるいは不正確なところがあるかもしれない。間違いや不正確なところがあったらご教示いただきたい)

 このようにしてリーマンブラザーズが倒産し他の会社も資金繰りが出来なくなったので、政府は税金をつぎ込んで金融機関を救った。このやり方はかつての日本と同じに見える。

 これについてブログ「世を倦む日々」は次のように書いている。
  資本主義というのは、資本家が会社にお金を投資して、儲けて、それで資本家に配当を渡す。そういう物ではなかったのか?

 しかし、2008年の10月をもって、資本主義の意味が変わったらしい。国民から税金を集めて会社に投資し、それで株価を上げて配当は株主に横流しする。

 多くの国民が爪に灯をともして生活しているなかから吸い上げたお金を、ジャブジャブと銀行や証券会社や保険会社やビッグスリーなど超大企業に「注入」し、経営を支え株価を上げる。これって、もう資本主義じゃないでしょ。すぐに「社会主義だ」とかと言うものどうかとは思うけれど、少なくとも資本主義の敗北宣言だ。

 だいたい、「注入」なんて経済用語ないはず。投資なのか、融資なのか、譲渡なのか。お金の流れには、かならず権利関係をはっきりさせる用語がある。にもかかわらず、税金を企業に献上する際には、かならず「注入」という用語が使われる。

 株を買ってあげるのか、貸してあげるのか、全部あげるのか、どうなっているんだか本来の金主である国民には分からない。そんなマヤカシで企業を助け、見せかけの景気浮上を演出する。

 なんだ、これはニューディール政策と一緒じゃないか。と言う人もいるかもしれない。けど、ぜんぜん一緒じゃないと思う。ニューディール政策は、実業に税金を投資して、実際の仕事を作って雇用を増やした。しかし、今回の一連の「注入」は、金融資本への『注入」であり、株価は上がるけれども、実業には結びつかない。それに、ニューディールが本当に有効なのならば、世界中が同じコトをするはずだけれども、そうならなかったのは、ニューディールが所詮アメリカの特殊な戦時経済にすぎなかったことの証明だろう。

 考えてみれば分かるけれども、国民とは消費者だ。ニアリーイコールだ。消費者が一方的に収奪されて、経営者や投資家に一方的に富が横流しされている世の中で、どうして経済が発展するだろうか。いくら作ったって、買う人間がいないのだ。

 これに関連し、くつかの疑問が新たに生まれたり、調べる中で判明したことがある。

疑問 1
 かつて、日本のバブルが崩壊し金融危機に陥った時、政府は金融機関に巨額な金を出しこれを救った。 私は「大企業を救うために国家が金を出すとは何事か」とこれに反対したのだが、あのとき国家予算を導入しなかったならば日本の銀行は倒産したのだろうか。「赤旗」などには「銀行の不良債権は自己責任で処理すべきだ」と書いてあり、私もそうすべきだと思っていた。だが、今考えると、あの時多くの銀行は不良債権を自己責任で処理する力を持っていなかった。だとするといくつかの銀行は倒産したはずだが、そのほかの道はあったのだろうか。仮に、大手銀行数行が破綻したとすると、その影響は計り知れないものがあったのではないだろうか。銀行に金を投入することに反対していた人や政党はどのような解決方法を考えていたのだろうか。

発見 1
 私はアメリカがイラク戦争の戦費や貿易赤字を抱えていることは知っていた。そのうちに経済危機になるだろうとも思っていた。事実、そのとおりになったのだが、EU諸国や北欧諸国も同様の問題を抱えていたことは全く知らなかった。アメリカが破綻すればEUやブリックス(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国の役割が大きくなり世界経済はこれらの国によって支えられるのではないかと思っていた。ところが、これらの国の好景気はアメリカの消費によって支えられたものであったり、アメリカが発行した債券を買ったことによって得られていたことが判った。
 ましてや、アイスランドやスイスの銀行のかかえる不良債権が国家予算を超えるほど膨大で、国の存続が危ぶまれるほどであることなど想像すらできなかった。

疑問 2
 麻生総理や経済人は日本の金融機関は不良債権を処理してきたので、サブプライム問題の影響はさほどではないと言っているが、株価は破綻に瀕している張本人のアメリカ以上に下がっているのはなぜなのだろうか。私には理解できない。
 私にわかるのは、日本の大企業の好景気を支えていたのはトヨタに代表される輸出産業であるから、輸出が停滞すれば景気は悪くなるということぐらいである。しかし、それでも自動車ビッグ3(GM,フォード、クライスラー)はつぶれる瀬戸際にあるのだから、日本はアメリカと比べればはるかに安定しているではないか。

発見 2
 石油価格が暴騰し、現在暴落している。1ヶ月ほど前のNHKの「クローズアップ現在」では「石油価格の下落をはじめ、食物価格の下落はありえない」、と解説していた。「なぜなら、原油や穀物は中国やインドなど新興国の需要が伸びているから現在の高値が実態に合っているのだ」と言っていた。きょう現在の判断をすると、原油も食料も暴落している。ということは、原油や穀物の暴騰の主なる原因は需要が増えたためではなく、投機のために暴騰したということのように思う。テレビに登場する「有識者」がいかにでたらめであるかを絵に書いたような番組であった。注意しなければならない。


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