K・コルヴィッツの生涯と画業(友の会)   2009年2月28日

 今日は「K・コルヴィッツ展」の最終日である。この展覧会には全力をあげて取り組んだ。
 作品は18点だったが、その図録を作った。また、今日の話をするためにプロジェクター用

原稿を作り、冊子にした。図録は19ページ、冊子は37ページである。冊子はプロジェクター
用だから写真が多く、文字を書くスペースが少ししかないので、解説は限られてしまった。

 何人かにはFAXを送り、数人には手紙を出した。何人来るか心配だったが、13人が来て
くれた。そのメンバーを見ると、実に懐かしい人が来たことが分かる。
 藤本宏、水野隆夫、板倉キイ、米山政弘、笠原和子、轟博子、轟馨、中村利枝というメン
バーは信州大学の同学年会のようだった。板倉キイさんとの40年ぶりの再会や水野さんと
の再会を喜んだのは藤本さんだった。これだけそろった時は今までなかった。
他にも藤井醇、堀川正子、小坂昌子、中村和正、小野富佐恵そして、私たち夫婦というメン
バーだった。

 以下、図録を引用しながら、今回の展示を振り返ることにします。

               略 年 譜

1867年 北ドイツ、ケーニヒスブルグに生まれる
1891年 カール・コルヴィッツと結婚 ベルリンに住む
1892年 長男 ハンス誕生
1896年 次男 ペーター誕生
1898年 父死 連作「職工の蜂起」女子美術学校教師
1908年 連作「農民戦争」
1914年 第1次大戦開始 次男ペーター戦死
1918年 第1次大戦終了  リープクネヒト虐殺
1923年 連作「戦争」
1932年 戦没者追悼像「父と母」設置
1935年 連作「死」
1941年 最後の版画「種を粉にひいてはならない」
1945年 歿

 1867年北ドイツのケーニヒスブルグで裕福な建築家の家に生まれたコルヴィ
ッツは自由な雰囲気の中でベルリンやミュンヘンで美術を学びました。 ドイ
ツの版画家マックス・クリンガーやムンクなどの影響のもと、銅版画とリトグ
ラフで、連作版画『織工の蜂起』や『農民戦争』を発表し、名声を確立しました。

1891年以後、夫カールとともにベルリンの労働者街に住み、夫のもとを訪れ
る彼らの姿に接しながら、弱い立場の人間の姿を描き続けました。

魯迅は晩年、彼女の作品に傾倒し「ケーテ・コルヴィッツ版画選集」を出版
し、次のように述べています。「外国へ行ったことのない人は、往々にして白
色人種はすべて人に向かってイエスの説教をするか、あるいは商社を開くもの
で、美衣美食をし、少しでも気にくわぬことがあれば革靴で人をやたらに蹴飛
ばすものと思いがちである。この画集をもったことで、世界には実際どこにで
も、いまなお『辱められ、虐げられた』人びとがいて、その人びとはわれわれと
同じ仲間であり、しかもなお、これらの人びとのために悲しみ、叫び、闘ってい
る芸術家がいることがわかる」  

第一次大戦で息子ペーターを失い、第二次大戦で孫を奪われたコルヴィッツは、
ナチスに迫害されながらも戦争反対と反ファシズムの姿勢を曲げず、ナチスへの
抵抗を貫きながら、魂をゆさぶる作品を生み出し続け、不遇の中で19454月に
この世を去っています。

今回展示したのは、コルヴィッツの版画作品18点と魯迅編集の『コルヴィッツ
版画選集』など関係資料、ポスター、書籍および、上野誠とコルヴィッツの作品
の関係などでした。

1番 連作版画「職工の蜂起」第3葉『密議』

暗い部屋の片隅のテーブルの周りに坐った4人の男がなにやら相談をしている。あたりは暗くテーブルに置かれたローソクの光に照らされた男の顔と固く握り締めたこぶしだけが浮き出して彼らの緊張を物語っている。

 「織工の蜂起」(6)はハウプトマンの戯曲「職工」からヒントを得て制作した6葉の連作版画である。
 「貧窮」「死」「密議」「行進」「襲撃」「結末」の6葉からなる連作版画である。低賃金と長時間労働によって極度の貧困に陥った機織労働者の暴動とその鎮圧を扱ったこの作の成功により、コルヴィッツはドイツ
(プロイセン)で一流の画家であることが認められた。作品は審査委員により金メダルを渡されるはずだったが、皇帝は授与を拒否した。


2番 「カルマニヨール」


「カルマニヨールを踊れ」は、フランス革命期に流行した歌で、この作品はフランス革命直後の下町の女が狂気のように踊っている姿を描いている。ディケンズの「二都物語」に題材をとったといわれている。
 中央にあるのはギロチンで、石畳には今処刑された者の血が流れているように見える。背景の建物は貧困層の人々が住んでいる石造の建物である。彼女らは毎日水を汲んでは狭くて暗い石の階段を何回か往復しなければならなかった。
 私達はフランス革命によって「自由、平等、博愛」がもたらされた、と教えられてきた。コルヴィッツは社会主義を信奉しており当然フランス革命を評価していたはずであるが、何かに憑かれたように踊り狂う彼女らの顔は、とても「自由、平等、博愛」精神の実現を喜ぶ民衆とは思えない。
 ギロチンの周りで踊りくるっている顔は、私には連作「戦争」シリーズ第2葉「志願者たち
の若者の顔と共通に見えるのである。

 コルヴィッツはこの作品で何を訴えようとしていたのであろうか。

3番 農民戦争シリーズ
農民戦争シリーズより3枚を展示した。(「鋤をひく人」「凌辱」「突撃」)


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