長野市庁舎・市民会館建て替え問題 
           ー在り方懇話会の議事要旨を読むー

 長野市庁舎・市民会館建て替えについて市は「長野市第一庁舎及び長野市民会館の在り方懇話会」を作り、H20年6月から11月まで17人の委員を委嘱して検討しH20年12月に報告書をまとめ、市に提出しました。
 懇話会の課題は「両施設は、40年以上前から現在の場所に並び建ち、長野市の中心的な公共施設として市民の皆さんに親しまれていますが、老朽化、耐震強度不足による安全面での不安があるなか、今回、建て替えの可否を含めた両施設の在り方について、一体的に議論する機会が持たれたものです」(報告書はじめに」)
 懇話会の内容はホームページに公開されていますので誰でも読むことができることがわかったので、読んでみました。そして、大変驚きました。

 建て替えについて話し合われたのは第一回から三回までですが、ここでは耐震強度が不足している両施設を建て替えるのが良いかどうかということが話し合われたのですが、「耐震補強」「免震」「中間免震」など耐震補強のの可能性については一切検討されませんでした。

 阪神淡路大震災後、全国の公共建築物の耐震強度が測られ、対応が求めらるようになり、多くの施設が対策を講ずるようになりましたが、その多くは耐震補強工事をおこなってきています。

施設名 築年 耐震工法
長野県庁 免震工法
松本市庁舎 S34 ピタコラム工法
名古屋市庁舎 S8 免震工法
横浜市庁舎 S34 免震工法
 品川区庁舎  S43  免震工法
 山梨県庁  S38  免震工法

 長野市のお膝元の県庁で耐震補修をしようとしているとき、長野市の「在り方懇話会」で耐震工法について何一つ検討されなかった事を知った時は本当に驚きました。

−第一市庁舎・市民会館の今後の在り方について「建て替え」を選択した懇 話会の「建て替え」部分の全発言記録―

(市庁舎関連発言    市民会館関連発言)

1回「在り方懇話会」の発言(建て替え関連のみ抜粋)

A:庁舎の在り方についても、こういった視点で長野市の特色を生かした上で、建て替えを積極的に進め るべきと考える。市民会館建て替えの可否については、市の提案にある通り建て替えの方針にする ことに賛同するものである。

B:第一庁舎は耐震性、耐久性の問題から建て替えを前向きに進めればよいと考える。市民会館につ いては建て替えの可否は議論の焦点ではないか。

C:市民会館の建て替えは時期尚早ではないか。まず、第一庁舎の建て替えに資金を投入し、、、市 民会館は取敢えずの結論、方向性を決めていけばいいのでは?

D:資料の庁内検討資料は私の考えに近い。規模は縮小してもよいと思う。

G:庁舎については、、、一日も早く建て替え、万が一の災害のときには即、働けるような機能性あるものを、、、市民会館については、町づくりや芸術文化向上などを考えながら検討していけばよい。

H:庁舎は耐震強度がないということなので建て替えて、、、、、市民会館については、、、、今のも  のを取り壊すとすれば建て替えるべきと考える。
I:市民会館は音響が悪い為クラシックコンサートも行われない。早めに建て替えに着手すべきであ  る。

J:まず庁舎を建て替えて、、、、併せて市民会館も検討を続けていけば良い。

2回「在り方懇話会」の発言(建て替え関連)

第一庁舎については耐震強度、災害、防災時の拠点となることから考えても建て替えに賛同する ものである。

第一庁舎については、耐震の問題もあるので建て替えに賛成であるが、建て替えの際には、子育て 世代にも利用しやすい施設にしてほしい。

庁舎の建て替えについては、建て替えるべきと考えるが、耐震強度だけでは市民の皆さんの理解を得 られないのでは、、、、

庁舎の建て替えについては耐震強度に達していないという事実が明確であるので考える余地もなく 実行すべき。

・庁舎と市民会館は別途の議論で考えるべきだと思うが、庁舎を最優先に建て替えるべき、お金をかけな いでつくることも必要だが、せっかくつくるのなら20〜30年でまた建て替える議論をするようではい けない。

庁舎は少し贅沢といわれても将来に残るものをつくり、万が一の時には市民の駆け込み寺になるような避 難地としての役割を担っていくことも必要ではないか。

 ・第一庁舎については耐震強度の問題もあり建て替えるべきと思う。

市民会館は立地的には良い。稼働率が悪いのは現状の施設だからであり、建て替えればよくなると思う。

座長:今迄の議論を整理すると、@庁舎を第一優先とし続いて市民会館を考える、A庁舎と市民会館 を一緒に考える、B庁舎と市民会館を複合した施設、といった意見がある。

・現実的な流れを考えると、例えば、第一庁舎を解体する前に、市民会館の敷地に次の庁舎を建設しておき、その後、第一庁舎を解体し駐車場にする、、、

市民会館は、どのような形で残すのか、あるいは壊すのかということは、議論を別にしないとい け ないのでは、

 ・市民会館は大切だと思うのには変わりない。

市民会館を今の場所ではなく、閉校が決まっている後町小の跡地に、市民会館の機能とは別に何か文化 的な物を建ててはどうか。

市民会館の保存については、、、、耐震補強をして補修もしていくことになるとかなりの費用がかかっ てくる。また、今となっては市民会館について市民がそこまで必要としているかについては疑問。

 市民会館については必要と思われる時に建てればよいのではないか。
 ・市民会館を保存するというのは理想ではあるが難しい問題。市民会館の場所に庁舎をつくるのが良い  と思う。

市民会館は今の場所に保存したいという思いである。

座長:委員からお話があった庁舎の建て替えについての市民に対する説明は、耐震強度がない状況で、市民の皆さんも利用する施設を安全安心にするために建て替えるという主旨で良いと思う。

座長:第一庁舎建て替えに関してはほとんどの委員も賛同されているが、手順をどうするか。

 ・庁舎は建て替えることでいいと思うが市民会館と一緒に考えるべきである。

 市民会館の必要性について議論されないまま手順だけ進めてしまうとおかしくなってくる。市民会館は文  化施設として必要があるかないか、その上で手順を検討するべき。

座長:文化施設として市民会館は必要かということについてはどうか。   
 必要かと言われれば、皆、必要となる。優先度から見て、あるべきかどうかだと思う。財政的観点から  も考えて、必要だけれどもどうするかということだと思う。

 市民会館と庁舎は複合としたほうが建設費から考えても効率的でないか。

 市民会館を壊して、市民会館跡に庁舎を建て替えて、庁舎跡には駐車場とするのが良いと思う。

 市民会館は別の場所に建て替えるということには賛成。

 庁舎と市民会館は同時進行しないと、駐車場など進んでいかない問題がたくさんある。

歴史的記念物、長野のシンボルとしてきた市民会館を文化財として残すという話が中途半端で終わってし まっている。残さなくていいとするか、あるいは残すということを前提として懇話会をまとめるとなると、話の方向がまた変ってくると思う。

庁舎は大方、方向性が見えてきた気がする。市民会館に集中して、特に市民会館の必要性に絞って議 論する必要がある。

座長:第一庁舎建て替えについては大方異論がないということだが、どこへ建てるかという話では市 民会館の敷地へと言う話だが、それには市民会館の取り壊しが必要で、一方で保存したいという意見もあ る。保存するなら市民会館の敷地には建てられないということ。

市民会館については、どういう市民会館にするかというがあった上で、場所をどこに選定するかというこ とになる。

長野市にとって市民会館の可否を問われている。私は必要だと思うが、そういった前提に立って次に進め ていくのは良いが、まずは、市民会館を残すかどうかをしっかりと議論するべき。そこを曖昧にはできな い。

 私は市民会館の可否については、可ということでクリアしたものとして意見していた。

 3回検討委員会の発言(建て替え関連)
 座長:前回までの意見を踏まえて議論を進めていきたい。第一庁舎については機能をどうするかということ  。現在第一庁舎は2階に住民票を扱う市民課がある。第二庁舎は1階に福祉関係、2階に税務関係の窓口  がある。こういったものは全て一階に集めたらいいのではないかと思っている。

市民会館については建て替えが必要かどうかという点では、優先度、財政的な問題がからんで時 期 尚早ではないかという意見も出ているが、市民会館を継続的に考えていくのは重要と言うのは大 方の雰 囲気としてOKではないかと思う。

今の議論から言えば、懇話会としては、市民会館はつぶすのではなく検討して作っていく方向、と いうのは大方の意見と感じている。

座長:第一庁舎はいいが、市民会館についても建て替えの方向で行くのか、すぐに建て替えということでな く、財政面とか検討したうえきという意見もあるがいかが。わたしは17人の委員だけで建て替えの 事を決めていいのか実は疑問に思っている。この問題は財政面、市の全体の町づくりなど色々なとこ ろに影響する。第一庁舎は良いとしても市民会館については、多くの市民にアンケートを求める必要があ るのではないかと思う。

事務局:順番としてはいくつかの段階がある。その中で市民アンケートと言うのも一つの方策だと思う。1 回目の懇話会で申し上げたが、全体的なスケジュールを考える中でお願いしているので、懇話会の結論を まとめるための市民アンケートは難しいかと思う。

市民会館は直ぐ建て替えるということではなく、予算を見ながらやっていくことでよいが、建て替 えるということで方向性を出しておいて、何時建て替えるかはここで結論を出す問題ではないと思う。

最初に市の方向性について説明があったので、もう方向性は決まっているのかと思い、他の意見を 言いにくく感じる。

・第一庁舎については建て替えの方向でオーソライズされたと思う。屁理屈つけたところで存続でき る わけではない。今これだけ地震で騒がれている。急いで地震対策をとる必要はないというご意見もあ るが、地震が本当にないかといえば、そういう保証もない。一日も早く第一庁舎は建て替えるべき。

座長:第一庁舎及び長野市民会館の建て替えの必要性に関することについて は、両施設とも建て 替 えるという方向でよいか。ただし第一庁舎について はすぐやってほしい、市民会館につい ては、 財政面等を検討し、頃愛を見 て建て替えていくということでよろしいか。

〜委員、異議なく了承〜

 読んでわかる通り、意見表明はありますが、検討の跡はありません。それも、建て替えか、現状維持かという意見であり、耐震改修することについては想定していない意見がほとんどのように見えます。つまり、在り方懇話会では、第一庁舎と市民会館の建て替えについては建て替え以外の方法については全く考慮されることなく決めてしまったのです。驚くべき杜撰さです。

 おそらく、市当局はこのような論議になるように会議の持ち方を仕組んだのでしょう。それは、この会議の中では事務局から「耐震補強」「免震工法」「中間免震工法」についての説明が全く行われていなかったことでも明らかです。この工法の説明は「建て替え」を検討するのが使命でない検討委員会の6回目に行われているからです。
 
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