脱原発と原発ゼロ    2011年12月18日

 3,11以後脱原発の声が高まった。「危険な原発をなくし、自然エネルギーで電力をまかなえ」という声は全国からあがって今に到っている。
 この運動は当初、「脱原発」という言葉が使われていた。今でも使わているが、5月末からは「原発ゼロ」という言葉も使われ始めた。二つの用語は一部重なりつつ別々にも使われている。
 
「脱原発」は原発事故直後から毎日のように使われているが、「原発ゼロ」という言葉は5月22日に発表された共産党の署名活動から始まったと思う。

 
 日本共産党はこのほど、「原発からの撤退を求める署名」をつくりました。衆参両院議長あての請願署名で、「日本政府が原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限を決めたプログラムをつくることを求めます」という内容です。党機関や党支部が活用するのはもちろん、原発からの撤退の一点で一致できる個人や団体も広く活用することを呼びかけています。(2011年5月22日新聞赤旗)

【請願主旨

 福島第一原子力発電所の事故は、原発の危険性を国民の前に事実をもって明らかにしました。
 現在の原発の技術は本質的に未完成で、きわめて危険なものです。原発はばく大な放射性物質(死の灰)をかかえていますが、それをどんな事態がおきても閉じ込めておく完全な技術は存在しません。そして、ひとたび大量の放射性物質が放出されれば、被害は深刻かつ広範囲で、将来にわたっても影響を及ぼします。
 そうした原発を、世界有数の地震・津波国であるわが国に、集中的に建設することは危険きわまりないことです。日本に立地している原発で、大地震・津波にみまわれる可能性がないと断言できるものは一つもありません。
 歴代政府が、「安全神話」にしがみつき、繰り返しの警告を無視して安全対策をとらなかったことが、どんなに深刻な結果をもたらすかも明瞭となりました。
以上をふまえて、私たちは、原発からの撤退を要求します。

【請願項目】
一、日本政府が原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限を決めたプログラムをつくることを求めます。

 これ以後は共産党をはじめ、新婦人、民青、全労連などの団体は原発ゼロ署名に取り組み始めた。

 一方、大江健三郎、澤地久枝、内橋克人、瀬戸内寂聴さん等は6月15日に「脱原発1000万署名」と9月19日に日比谷公園で「5万人集会」を行うことを呼びかけた。

趣旨

 3月11日の東日本大震災によって、東京電力福島第一原子力発電所では、1号炉から3号炉までが炉心溶融(メルトダウン)する最悪の事態が発生しました。水素爆発や工場外壁の破壊などによって、高濃度の放射性物質が海水・大気・土壌に放出されて環境を汚染する、未曾有の大事故となったのです。

 放出された放射性物質は、地域の住民や労働者だけではなく、まだ生まれていない将来の子どもたちの健康と生命にとっても、計り知れない悪影響を与えるものと危惧します。 私たちは、人間の生存を脅かす計り知れない原子力エネルギーの恐怖に、多大な犠牲を伴いながら直面することになりました。この恐怖と犠牲を、未来に残してはなりません。エネルギー政策を根本から見直すことが必要です。

 私たちは、自然を収奪し、エネルギーを無限に浪費する生活を見直し、自然エネルギーを中心とした「持続可能で平和な社会」を実現しなくてはなりません。そのために、原子力中心のエネルギー政策の転換を強く訴え、以下の事項の実現を要請します。

要請事項

  1. 原子力発電所の新規計画を中止し、浜岡をはじめとした既存の原子力発電所の計画的な廃炉を求めます。
  2. もっとも危険なプルトニウムを利用する、高速増殖炉「もんじゅ」と、青森県六ヶ所など再処理工場の廃棄を求めます。
  3. 省エネルギー・自然エネルギーを中心に据えたエネルギー政策への転換を求めます。

以上

 
  二つの署名は共に原発をなくすことを目的にしているが、一方は政府に対する要求であり、他方は政府、電力会社への要求をしつつも「私たちは、自然を収奪し、エネルギーを無限に浪費する生活を見直し、自然エネルギーを中心とした「持続可能で平和な社会」を実現しなくてはなりません」と、目指す方向も示したものになっている。

 現在行われている原発反対の署名活動は他にもあるが、大きな運動はこの二つである。私はこの二つの運動は出来るならばひとつに統一できれば更に良いのではないかと思っている。

 9・19の集会には脱原発の運動をしている人も原発ゼロの運動をしている人も一緒になって盛り上げた。それは素晴らしいことだったと思う。

 私は、この集会が両組織の人が一緒になって行動できるか危ぶんでいた。なぜならば、大江さんたちの運動は「原水禁国民会議」がバックで支えているからだ。(署名の送り先は「原水禁」になっている)

 最初、共産党は「原水禁」にこだわっていたようだが、最終的には合同の集会のようになったそうだが、そこまで行くにはいろいろ問題もあったと聞いている。しかし、統一できたのは何としても嬉しい。

 この集会は両者が統一して成功したが、署名活動に関する限り、私の周りでは両者を同時に行なっている人は全くいない。署名の趣旨は似通っているが、運動は全く別になっているように見える。

 12月3日にホテル信濃路で「原発ゼロ・自然エネルギーへの転換を求める長野県連絡会」が結成されたが、ここには脱原発で行動している組織は入っていない。ちなみに、呼び掛け団体は「長野県労働組合連絡会」「新日本婦人の会長野県本部」「農民運動長野県連合会」「日本民主青年同盟長野県委員会」「長野県民主医療機関連合会」「長野県商工団体連合会」「原水爆禁止長野県協議会」「長野医療生活協同組合」である。

 私の周りを見ると、原発問題を早くから取り上げ、季刊雑誌で二度の特集を組み、現地に飛んで被災者支援の活動をしたり、全国に呼びかけ、放射能を測定したりしているグループがある(例えば「たあくらたあ」グループ)が、ここは入っていない。

 呼びかけたが入らなかったのか、呼びかけなかったのかわからないが、私は残念に思っている。

 今後できる限り共同の集会や行動を企画して欲しいものである。


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