故 小林朗氏所蔵作品寄託  05−1−20

 丸子町にお住まいの斉藤孝夫さんから電話があり、「丸子町の町会議員を長く勤めた故・小林朗さんの遺品に版画や画集があるので見てくれないか」と依頼された。

 「見るといっても私は画商ではないし何を見るのかもわからない」と答えたところ、「自分たち(斉藤孝夫さんと白井信吾さん)がそれらの遺品の整理を頼まれた。現在は倉庫の中にしまってあるだけなので出来るならば作品を活かしたいと思う。買ってくれとか売ってくれということではない。ひとミュージアムで生かすことが出来そうな作品があるかどうか見て欲しいのだ」という話だった。

 それなら作品を見てみようかと思い、その旨お返事したところ、早速お二人で作品を持って見えた。

 版画
秋山厳    一石路、三鬼、白泉の俳句を描いた木版画で戦争への想いを描いた木版画 7点
中村直人   リトグラフ作品 3点
徳力富吉郎 木版画小品 1点
作者不詳  木版画・ガラス絵小品数点

 画集
儀間比呂志 『沖縄の女』        岩崎書店
飯野農夫也 『飯野農夫也版画集』  風書房
皆川月華 『皆川月華作品集』     中日新聞・東京新聞社
『明治の石版画』              春陽堂
『鉄斎』 花鳥図               集英社
『雲坪』                    信濃毎日新聞社
『横井弘三作品集』


 これらの作品と画集を開いてほこりを払い壁に立てかけ、斉藤・白井さんと一緒に鑑賞した。
この美術館にふさわしい作品として秋山厳の木版画、儀間比呂志の版画集、飯野農夫也の版画集を選び出した。
 中村直人は有名ではあるが、この美術館には似合わない。皆川月華の豪華本やその他の本もここには似合いそうもないのでお持ち帰りいただいた。

 秋山厳の版画はいずれも俳句が書いてあり、それにあわせて7枚の絵が描かれている。

・兵を乗せ 黄土の起伏 死面なす              三鬼(西東三鬼)
・大砲が 大きな口あけて 俺に向いている初刷       一石路(栗林一石路)
・戦争が 廊下の奥に 立ってゐた               白泉(渡辺白泉)
・銃後といふ 不思議な街を 丘で見た            白泉
・占領地区の 牡蠣を将軍に 奉る               三鬼
・戦争は うるさし けむし 叫びたし              白泉
・機関銃 翔けり 短き兵を射つ                 三鬼




儀間比呂志の『沖縄の女』には1枚のオリジナル作品がついていた。

『飯野農夫也作品集』は印刷ではあるが見ごたえのあるものだ。長塚節の小説に出てくるような農民が畑仕事をしている場面が描かれている作品であった。


 秋山厳の版画はここにおくのも良いが、森の板画館に置くのも良いかもしれない。あとで森獏郎さんとも相談してみたい。


 BACK  NEXT  通信一覧