柄澤斎「肖像シリーズ」の面白さ 4   2005年1月29日

 柄澤斎の展示期間が終わってしまったが「肖像シリーズ」についてまだ書き足りないので続けることにする。

 肖像]]]Vガストン・パシュラール
 
 ガストン・パシュラール(1884〜没年不詳)
      フランス 科学哲学者

理学士、文学博士でディジョン大学教授をへてソルボンヌ大学教授。1955年科学技術史研究所長となる。ボアンカレ、ブランシュヴィックを継承し、科学理論の発展における理性の可動性を強調する「非デカルト的認識論」を提唱した。科学的理論における概念の変化とその精神的解明が特徴である。
主著に「新しい科学的精神」「現代物理学における空間の経験」「無の理論」「版画と権利」など

 一見普通の肖像画に見えるこの版画は拡大してみると同心円で描かれている。画面中心あたりの頬のあたりを中心にして細かな同心円が描かれている。その線の太さの違いによって画面の濃淡を描き出しているのは名人技としか言いようがない。
 柄澤はこのような技法をどうして考え付いたのかいろいろ考えている時、坂本満著の「版画散歩」でメランの『聖顔』を見つけ「これだ!」と合点した。

 下にその作品を載せてみるからご覧いただきたい。ただ、スキャナーの性能やPCの性能のせいでこのあたりが限界なので一本の線で作品全体が描かれていることははっきりしない。

 鼻を中心にして1本の線がぐるぐると引かれているのがわかっていただけるだろうか。この作品はなんとたった1本の線で描かれているのである。顔だけでなく、下に見える布の影から文字までが同じ線なのだ。残念ながらコンピューターの性能が不十分なのでこれ以上拡大できず1本の線で描かれていることがはっきり確認できないのが残念である。ここでは必ずしも円形の線でなくいろいろの方向の波に見えるが、現物はそうではなく円形の線のみなのだ。
 この作品は銅版画だが柄澤の作品は木口木版画である。両方を現物で見比べてみたいものである。


 BACK  NEXT  通信一覧