森貘郎、金九漢、金俊権 日韓版画・陶芸作家三人展    6月22日

 すでに残すところわずかになったが、現在当館では「日韓版画・陶芸三人展」を行っている。
今回の展示作品は「日韓友情年記念展示」でもある。日韓の友情は国の関係ではまことに危なくなっているが人や文化の段階では決して危なくなってはいないと思う。また、危なくしてはならないと思う。

 今回の展示作品は趣旨に沿った作品が飾られているので、解説をしておきたい。

森貘郎作品
「砂の国」「砂の風」

 この2作品はイラク戦争をテーマにした作品である。
 イラク戦争での犠牲者を描いている。手や足のない人、首だけの人が画面に散らばっている。武器を持っている人  はいないから兵士ではなく、市民だろう。体には白く穴が開いている。これは銃弾であけられた穴かもしれない。

「8月の足音」
 真ん中に少女の顔があり、周りには足、猫、魚、髪の毛が逆立っている女などが描かれている。周りが殺伐として  いるのに少女の顔は優しくて穏やかである。彼女は戦争の終わることを予感していたのであろうか。


「終りの始まり」
 この作品は「マツシロ1945」シリーズに含まれている。「慰安婦」を描いたものだろう。むごい光景だ。

「風化」
 この作品も「マツシロ1945」シリーズに含まれている。やはり「慰安婦」だろう。個々に描かれた女性はお互いに綱のようなものでつながれているではないか。

「みんな戦争に従った」−そして帰ってこなかったー
 大川悦生に「おかあさんの木」という現代の民話があるが、そのお話を描いたのがこの作品である。
 お話の大要
 「お母さんと7人の子どもが住んでいた。戦争が始まり長男の一郎のところに召集令状がきた。一郎が出征したとき お母さんは畑に一本の桐の苗を植えて一郎と名づけ大切に育てた。しばらくすると二郎のところにも召集令状が来  た。お母さんは一郎のときと同じように畑に桐の苗を植えて大切に育てた。戦争が激しくなり、三郎、四郎、五郎と言 う具合に子どもたちは全員戦争に行ってしまった。やがて、母の元に子どもたちの死亡の知らせが次々に来た。戦  争は終わってただ一人生き残った七郎が家に帰ってくるとお母さんは桐の木にもたれるように死んでいた」

「FLAG」
 2〜3年前、アメリカがアフガンに戦争を仕掛けたときアーミテージというアメリカの国務副長官が日本のアメリカ大使を呼んで「ショー・ザ・フラッグ」と言った。つまり、日本は戦争に参加すのかしないのかはっきりしろ(旗色鮮明死せよ)
と気合をかけた。小泉首相は直ちにそれにしたがって自衛隊の船をインド洋に出した。
 この事件を題材にしたのがこの作品である。

金俊権作品
「無名教師」
 先輩教師の肖像を学校付近の風景の中に描いている。校庭では子どもたちがサッカーをして遊んでいる。手前には仲良く3人の少女が登校中だ。俊権さんは「このような風景が続くことを願っている」と語っていた。


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