平和を願う宗教者の会 呼びかけ人会   2006年4月2日

 3月28日に「呼びかけ人会」を行いました。前回は2年前ですから全く久しぶりです。
 靖国神社参拝問題で中国や韓国との関係は悪くなり、日本と中国・韓国人との間もうまくいかなくなる恐れさえあるので、ここで宗教者の会を開くことが必要だと思ってお集まりいただきました。

 2年間のうちに呼びかけ人のメンバーの片岡稚夫さんと上野玄春さんがお亡くなりになりました。お二人とも前回のシンポジウムにはパネリストとして参加され、貴重なご意見をいただいただけに残念でたまりません。謹んでご冥福をお祈りします。

 集まった皆さんに近況を話していただきました。さまざまな活動をされたり、お考えをお持ちで、大変興味深かったのでその一部を紹介します。

 呼びかけ人のメンバーは発言順に野口清人(ジャーナリスト) 親里千津子(キリスト教徒・プロテスタント) 福島貴和(仏教・善光寺玄証院) 長田秀夫(キリスト教牧師・改革派)  堀内敬子(キリスト教徒・プロテスタント) 田中のぶ代(天理教・水篶刈分教会) 新海寛(信州大学名誉教授) 田島隆(ひとミュージアム)

  
近況報告

 野口:丸岡秀子の映画つくりをしている。その過程でいくつかのことがわかった。彼女が二度目の結婚をするが、丸岡(元は「井出ひで」だったが丸岡重堯と結婚し丸岡秀子と名乗っていたが、入籍はしていなかった)という姓を名乗りとおす。今流に言うと、夫婦別姓である。映画は4月に公開されるので見て感想など聞かせていただきたい。

 親里憲法を巡る動きをハラハラしながら見ている。九条の会の学習会などに出席してお話しすることが多い。私たちが団結して意思表示することが必要ではないか。

 福島:昨年イスラエルへの巡礼の旅に参加してきた。エジプトからシナイ半島を経過して入った。印象に残ったのは現在イスラエルが長城を築いて住民を分断していることだった。巡礼の旅には一昨年に続いての参加だった。聖地と言われている場所を2箇所見たが、両所とも雰囲気が善光寺と大変良く似ていることに気がついた。今年も参加する予定である。

長田:キリスト教プロテスタント改革派の牧師です。どんな宗教にも欠点はあるし、その教義も不動ではない。時代とともに動いているがそれでいいと思う。聖書を読み、そこに書かれている言葉をそのまますべてを現在に適用することが正しいとは言えない。宗教も時代とともにあるのだから、常に自らを批判的に見て改革していくというのが私たちの考えだ。

堀内:この会を始めたとき、館長は「異なった宗教のひとが集まって話がかみ合うかどうか心配だ」と話していたが話してみたらその心配は無用だった。この会がなかったら、お互いに知り合うことはなかった。創価学会の人のなかにも平和について深く考えている人がいるので参加してもらったらどうか。

田中:天理教は新しい宗教で今年126日に120年祭が行われた。毎年815日には沖縄で各宗教が平和を願って祈りをささげている。宗教者に出来ることは祈りだと思うので、何か出来ればと考えている。

親里:戦後61年間私たちは平和をつくってこなかった。いま、その付けが回ってきていると思う。戦争を知っている政治家は引退してしまい、本当の戦争を知らない人が戦争を語るようになってきた。

 新海:今日はお話を伺いたい。

 田島:ひとミュージアムで憲法講座を行ってきた。目的は @憲法を学び、良く知る Aいろいろな異なった意見のひとが交流を深めるというものだった。団体と団体、国と国では理解できないことも、人と人なら分かり合えると思う。

靖国神社についての各宗派の態度

 長田:靖国問題は「何が宗教か」ということを国が決める点に問題がある。心のあり方、心の問題を国が決めることは出来ない。政治は常に宗教を取り込もうとする。日露戦争のときキリスト教も「公認する」といわれ喜んで協力したことがある。

 福島:為政者に甘い言葉でつられないことが大切だ。徳川家康は仏教を支配の道具として利用した。檀家制度をつくり寺は黙っていても収入が入る仕組みを作ったため、僧侶は堕落した。

野口:松本市旭町でお宮が公民館として使われていた。松本市から公民館の補助金が神社に支給されていたことに対して住民がそれは憲法違反だとの裁判を起こした。裁判所は門前払いをしたが、和解を勧告した。このような事例はいくつかあり、行政と宗教の関係は難しい。

 堀内:杏花台団地に住んでいる。中に杏花台公園がある。公園の中に社(やしろ)を建てようという声があった。「公園は市の土地だから有志がお金を出してつくるのは何も問題がないはずだ」という意見があった。これは政教分離の原則からの反対がありやめになったが、このような意見を何の疑いもなく主張している人がたくさんいる。

 長田:キリスト教協議会が靖国参拝について抗議文を提出している。靖国神社参拝は信仰の問題だから直接宗教と関わる。しかし、憲法9条の問題はこれとは違う。武器を持つか持たないか、戦争を支持するかしないかという問題は宗教(教団)として決められる問題ではない。同じ信仰の人の中にも憲法を変えることに賛成している人もいるし反対しているひともいる。個人として主張し、行動する問題だと思う。大切なのは個人としての意見を自由に言えることだ。

 親里:このような会は大変有意義で、会を主催していることに敬意を表する。宮沖でも杏花台と同じような問題があった。ある人が「地域の住民の心をまとめ、結びつきを強めるために団地にお宮を作ろう」という声を上げた。これには「神道を信じない人にとっては団結どころか分裂の元になる」と反対の声を上げた。結局出来なかったが、お宮の代わりに御神輿(おみこし)が出来た。

福島:靖国問題では、宗派としては態度を決めているところはないと思うが、はっきりしない。中曽根首相が靖国神社を公式参拝したとき私も暗いうちから境内に入った。境内には軍服を着て参拝している人がいた。この人たちは心から靖国に参拝しているように見えた。恐らく「国のために戦った人を国が参拝するのは当然だ」と思っているだろう。わたしたちの主張はこの人たちになかなか伝わらない。憲法9条については禅宗の中に「改悪反対」を表明しているところがあった。

少し前までは韓国との関係はよくなってきていた。かつては「日本たたき」をすれば当選していたが、これではだめだという声が大きくなり、日本との関係も他国同様の視点で見るようになり、関係もよくなってきていた。ところが小泉首相が靖国神社を参拝することにより、日本パッシングが起き、民族主義が高まってきた。日本国内でも反中国、反韓国の感情がつよまった。これらはマスコミによって人為的にやられている。マス・メディアが問題だ。小泉批判をしたら、メディアから干されてしまう。アメリカ資本がそうさせている。

田中:このような会を持つことにより、普段接することの出来ない他宗教の方と意見交換が出来て有意義だ。天理教は教団としては靖国問題に対して特に賛成とか反対とかの意思表明はない。政治問題に対しては意思表明はしないほうが良いという判断だと思う。平和を願っているのは他の宗教とも同じです。


 このあと、シンポジウムの持ち方について相談して会を閉じました。
シンポジウムについてはこれから具体化して発表していく予定です。
                         (2006年4月2日)

 7月27日に松本市にお住まいの藤原英夫様より、本ページに書かれている記事の一部に重大な誤りがあるとのご指摘がありました。その内容は「松本市に対して起こした訴訟の結果が反対に書かれている」というものでした。このホームページには『松本市から公民館の補助金が神社に支給されていたことに対して、住民がそれは憲法違反だとの裁判を起こした。裁判所は門前払いをしたが、和解を勧告した』という部分です。このページは田島が書いたもので、発言と異なって書いた恐れもあり確かめる必要がありますので、確かめた上誤ったことが書かれていたら訂正し、お詫びするつもりです。
 藤原さんからご指摘いただいた内容は「松本市の公民館訴訟は勝訴して、その判例が確定している」ということでした。
 当日の参加者は全員「政教分離をしない松本市のやり方はおかしい」と思っていたので、この訴訟結果を喜んでいると思いますが、残念ながら私が良く新聞を読んでいなかったため、当日の参加者に話していただくまでこの訴訟を知りませんでした。自らの不明を恥じるばかりです。
                             (2006年7月31日)
  

前記にある野口さんの2回目の発言を以下のように訂正します。 

「宗教と行政の関係は“平和”といった大きな問題だけではない。憲法にある“政教分離”原則から逸脱するケースが具体的にいくつかあり、そのことを指摘した訴訟が松本市であった。一つは社会教育の施設が神社に置かれ、地域公民館の修理の名目で神社の社務所修理に対して公金が支出されたという事件、もう一つは国立大学である信州大学に稲荷神社が祀られ、大学がその祭事にかかわっているという事件だ。詳しい結果については承知していないが、いずれも被告側は門前払いを求めたようだ」

筆者が不十分・不正確な要約をしたため発言者の野口さんや参加者の皆様、読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びします。また、この訴訟の原告である藤原英夫氏はじめ関係者の皆様にお詫びします。

なお、藤原英夫氏から

「この裁判(社務所修理への公金支出)は平成1831日、東京高等裁判所で、憲法第20条、第89条に違反するという判決が下され、これが確定判決になっている」 また、信州大学構内に稲荷神社があることについても「平成16年東京高等裁判所で憲法違反であることが確定している」とのご教示がありました。

 ご教示いただいたことに感謝申し上げます。
                                      (2006年8月29日 田島隆 記)

 2006年12月30日
 藤原英夫様より電話があり「訂正文」中の(社務所修理への公金支出)と言うところは事実と違っているとのご指摘がありました。「社務所ではなく神社全体である」との事でした。お話をお聞きすれば納得ができ、その通りですので上記訂正文は(神社への公金支出)と訂正します。
                                      (2006年12月30日)


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