中国は社会主義国か?    5月26日

 しんぶん赤旗によれば不破哲三氏が中国を訪問している。中国社会主義研究所から招かれて現代の社会主義について講演するということだ。今まで発表されてきた記事を読んでいるのである程度は予想できるが、新しい内容があるかもしれない。その辺に注目している。
 ちょうどこの機会に私が感じている共産党の情勢分析と社会主義観に対する疑問をかいてみる。

1、 世界の国をどう分類するか

 日本共産党は世界の現状を4つのグループに分類している。1、(先進)資本主義国 2、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国、3、社会主義を目指す国々、4、かつて社会主義国と言われ、現在資本主義の体制に変化した国、である。

 国の分類の仕方にはさまざまな視点がある。地理的に見た分類、宗教による分類、政治体制の違いによる分類、民族や人種の違いによる分類などさまざまな方法があるが、上記の分類は視点があいまいなような気がする。強いて言えば歴史的観点から見た政治体制による分類とでもいえようか。

 発達した資本主義国というのは国を支えている経済体制が資本主義であるからわかりやすい。今までもこのような分類はされていた。
 アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国というのは地理的な分類でもあるが、かつては植民地国であったが、そこから独立した国である。これも以前から分類されていた国々である。
 社会主義をめざす国として中国、ベトナム、キューバを挙げているが、「社会主義をめざす」には注が入り、自称”社会主義国・社会主義をめざす国”ではなく、日本共産党が認めた”社会主義をめざす国”のみがこの中に入っている。だが、社会主義をめざしているかどうかの判断基準が書かれていないので、学問的な分類と言うより日本共産党から見た恣意的な分類に見える。
 かつて社会主義国といわれ東欧・ソ連崩壊後資本主義になった国は一つのグループに分類されているが、これらの国を資本主義国に分類せず、あえて一つのグループに分類した意味もはっきりわからない。

 不破氏は「資本主義には現在世界が抱えている矛盾を解決する能力がない」、として @社会的格差の拡大(貧富の差) A南北問題(国による格差) B地球環境問題を挙げている。
 たしかにこれらの問題は現代の課題であるが、問題解決の視点で見るならば、上記のような世界の分類は納得できるものではない。

 例えば中国は現在大変な勢いで貧富の差が広がっている。特に都市と農村の格差は大きく都市住民の所得は農村の所得の3,2倍(公式)だという。ジニ係数(所得格差を表す係数で0が格差なし、1が最高格差を表す))を見ても中国はアメリカ並みの高水準で、ドイツや日本や北欧諸国などよりはるかに格差があることがわかる。


 中国産の野菜が大量に輸入されているが、汚染された野菜が何回か問題になった。石炭の煙害や工場から出る汚水で川が汚染されたニュースは大きく報道された。
 この様子は日本の高度成長期と同じではないだろうか。日本も高度経済成長期は所得水準は上がったが、格差は広がり公害問題が巻き起こった。現在の中国は同じ問題が更に大規模にくり返されているように見える。

 この中国を「社会主義をめざす国」と分類しながら、「資本主義は所得格差を是正する能力はない」「環境問題を解決する力がない」としているのはなぜなのだろうか。そのように断言して良いかぎ紋である。

 また、上記の分類によれば資本主義の国は一つにまとめられているが、それでよいのだろうか。例えばアメリカや日本のようなグローバル社会をめざし、大資本が規制緩和を唱え好き勝手に振舞っている国と北欧諸国のように資本に一定の規制をかけて環境汚染や所得格差を減らしている国を一緒にしていいだろうか。
 資本主義は格差是正や環境汚染を防止する能力がないと言っているが、北欧やドイツの環境政策を見ると、非常に厳しい規制がかけられている。何よりも住民一人一人の環境問題に対する意識が高く、地球環境にも敏感である。これを見ると資本主義といってもすべてを一律に見るのではなく、一定の歯止めをかけている国と規制緩和をとなえ、企業を野放しにしている国は別に考えるべきだと思う。

2、中国は資本主義国ではないのか?

 中国の政治体制は共産党が政権をとっており社会主義国ということになっている。日本共産党流に言えば社会主義をめざす国ということになるが、国を支える経済体制は資本主義のように見える。市場経済を導入している社会主義といっているが、その意味が良くわからない。

 現在中国は外資を導入している。日本からも続々と中国へ企業が進出している。その理由は賃金が安いからだ。コストが安く収まるので競争に勝てる。また、最近では中国が格差社会になり富裕層が出現し、自動車をはじめ高級品もたくさん売れるようになってきた。そのため、企業にとっては市場としても魅力ある国になってきている。日本にとって見ると、企業が中国へ進出することは国内産業が空洞化し、労働者が失業したり、低賃金を押し付けられる原因でもある。

 中国では国有企業が株式会社にとって代わられつつある。株式会社のほうが効率が良いから、効率の悪い国有企業は倒産させる政策をとっている。国有企業は効率の良い部門と悪い部門に切り離され、悪い部門は倒産し、その部門の労働者は失業者になっている。

 これを見れば中国は資本主義国に見えるが、政権は共産党が握っている。上記の政策も共産党の主導の下に行われている。共産党政権下での市場経済の導入(社会主義的市場経済)と言っているが、これは資本主義経済の導入と言ってもいいのではないだろうか。
 この政策を導入したことにより中国の経済は急速に発展し、高度経済成長が続いている。国民の所得も向上しているが、貧富の差も大幅に広がっている。

 政治の面では共産党が政権をとっていて他の党は存在しない。憲法には政治結社の自由も表現の自由も集会の自由もあるが、国家体制の転覆もくろむことは禁止されており、その範囲での自由がある。戦前の大日本帝国憲法にあった表現の自由や結社の自由が実際には機能しなかったのと似ている。だから、政府批判をした共産主義青年同盟の機関紙が停刊させられ編集長が更迭されたり、太極拳のサークルが解散させられたりすることが起きるのだろう。

 土地の所有権などはどうなっているか知らないが、農民が土地を売ることは禁止されており、居住の自由は農村ではないようであるが、正確にはわからない。

 これらの事実は私には「自由の制限」に見え、納得しがたいが、中国国内ではこれに対する批判の声はあまり聞かれない。「天安門事件」の弾圧で自由を求める人が獄につながれたり、萎縮してしまったりしているのだろうか。こと「自由」に関しては、次第に厳しくなっているとはいえ、日本国憲法の下での自由のほうが格段にあると想う。ただ、これは日本から見た私の意見であるので、中国人が現在を同見ているのかはわからない。
 軍閥の下での中国、日本の侵略戦争下での中国、文化大革命下の中国と比べ、現在の中国の人民の多くが豊かになり暮らしやすくなっていることは良くわかるので、この安定した状態を維持しながら次第に自由を拡大させていこうと考えているのかもしれない。

 私の勉強不足もあり、良くわからない中での疑問である。今後少しずつ調べてみたい。
 


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