田中県政を評価すれば 
    6月14日

        200点−130点=70点

 田中県政を一言で評価すれば「プラスの面でもマイナスの面でも他人にはとても真似の出来ないこと行った一種の天才政治」だと思います。プラスが200点・マイナスが130点でトータルは+70点です。

 脱ダム宣言から始まった田中県政は予想をはるかに超えたスピードで進みました。進む方向は私の願いと同じでした。「地球環境を守る」「弱者の立場を大切にする」「平和を守る」などの理念が共通であるだけでなく、やり方がユニークでした。「納得すれば行動するが、しなければ行動しない」「自ら出向き、自分の目で確かめる」「しがらみに捕われない」などを徹底させた結果が「脱ダム宣言」「記者クラブ廃止」「車座集会」「各種の委員会の人事」「団体交渉への出席」「補助金削減・廃止」「思い切った情報公開」となりました。並べて書けばたくさんありますが、このうちの一つでも並みの知事には出来ないことだと思います。作りかけた淺川ダムを中止したことや、赤字を減らしながら30人学級を実現したことなどは魔法のようでした。

 人事の面でいろいろ言われておりますが、吉村時代にも問題はありました。長野県教組の委員長や書記長で校長になった人はこの二十年来ひとりもいませんが、その多くは退職後病院経営、企業経営、文化財保護、フリースクール経営などで手腕を発揮しています。このことは「能力や力量が無かったから管理職にしなかったのではなく、差別人事をしていた」ことを示しています。初めから候補者のリストからはずされていたのです。

 教育問題では「学区制再編」「高校再編」など、方向・方法ともに私は問題を感じています。「個人の選択」を強調していますが、そのことは競争激化と裏腹です。能率を強調していますが、強引、拙速と裏腹です。
 教育問題は知事とは別の問題である(教育委員会は知事部局とは独立している)という建前はありますが、実際は知事の意向が強く反映しているのも事実です。

 知事の住民票移転も私の常識から言えば不自然でしたし、委員の接待問題なども到底受け入れられません。これらの問題でもう少し柔軟な姿勢をとっていれば多くの県民から支持されるとも思うのですが、そうでないところが田中康夫の田中康夫たる所以でしょう。

 しかし、トータルとしてみると平和をめざし、環境問題を考え、直接県民の声を聞く耳を持ち、財政を立て直しつつある知事は大いに評価すべきだと思います。

                                        (「たあくらたあ」 原稿から)

追記
 「田中康夫知事は誰と似ているか?」と言われたことがあります。

 個性が強く、自分の意志を曲げない人はたくさんいますが、その多くは自分の側近を作り、手練手管を弄して意志を貫いています。その点田中康夫氏は自分の意志を率直に表現しストレートに実現しようとしているように見えます。

 このような人を思い出してみたところ、ひとりいました。
 それは、かつて釜石市長を務めたことがある鈴木東民です。

 鈴木東民については鎌田慧氏の「反骨ー鈴木東民の生涯ー」に詳しくかかれていますが、この著書の帯に書かれた「徹底した反ナチス報道で追放され、なお軍部の言論弾圧に屈せず、敗戦後は読売新聞大争議を指導、のち釜石市長として反権力・反公害運動を展開、一生を時流に媚びず反骨に生きた男」というのが彼の一生を一言で表しているでしょう。

 両者は時代も違えば生育歴も違うので違っていることもたくさんありますが、自分を信じ不利に見える状況の中でも己を貫き通すと言う点では共通しています。

 私は鈴木東民をずっと以前から知っていました。しかし、彼が釜石市の市長をしていたと言うことは知りませんでした。私が知っていたのは、鈴木マリオンの父であり、鈴木マリオンがケーテ・コルヴィッツの日記を訳した人であったからです。だが、最近コルヴィッツの日記が再刊されるに際して、実はマリオンが約したとされるコルヴィッツの日記は父の東民が訳したのだということを知りました。

 コルヴィッツを訳した東民と釜石市長の東民がどう結びつくのかわかりませんでしたが、「反骨」を読みよくわかりました。

 もし機会がありましたら、皆さんもこの本を読んでみてください。

 『反骨ー鈴木東民の生涯ー』(鎌田慧著 講談社刊)
 『反骨のジャーナリスト』(鎌田慧著 岩波新書)



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